†Orion†〜Nao's Story〜
「長谷川……先輩です」
正直に答えると、彼は一瞬だけ眉をひそめた。
「長谷川?」
「はい」
なに……この変な空気。
それまでにこにこ笑っていた彼の顔から、笑みがスッと消えた。
「俺が一緒に行ってやるよ。三年の教室なんて、一人じゃ心細いだろ?」
「あ……」
確かに、この人の言うとおり。
二年のあたしが一人で行くよりも、三年の先輩と一緒のほうが心強い。
だけど……だけど……。