†Orion†〜Nao's Story〜
「あーやっぱり。俺さ、料理長のとこでバイトしていて、写真で見たことあったから」
「……写真??」
「そうそう。料理長、いっつも家族の写真持ち歩いていてさ。暇さえあれば、“俺の娘たち”って、写真見せて自慢していたから」
お……お父さん。
あなたはなんてことをしているんですか。
「で、どうしたの? 三年の教室に来て」
「あ……えっと、一組に用事があって」
「一組? 知り合いでもいるの?」
「あー……はい。まぁ……」
言葉を濁していると、彼は「だれ?」と訊いてくる。