月から堕ちたアリス

旅、始まる。

ラビはかつてのあたしの家に連れてきてくれた。





森の中に佇むこじんまりとした一件の小屋。


近くには小川が流れている。



ここが、アリスの…


―――あたしの家。





あたしはラビと一緒に家の中へ入った。



若干の埃っぽさ。



あたしは窓を開けた。



『すごい埃だらけ…。』

「さすがに5年も経てばな。」

『ちょっと掃除が必要かな。』

「簡単で良いでしょ。もう旅に出なきゃいけないんだから。」

『…そう、だね。』

「とりあえず今日はここで休んで明日出発にしよう。」

『うん。』



それからあたしは簡単に掃除を済ませた。

気付いたときにはもう夕方。


お茶会でお腹がいっぱいのあたしは夕飯を食べる気にはなれず、さっき掃除したばかりの床に寝転がった。

疲れた…

何かもう今日は動きたくないな。



「俺お腹空いたー。」

『あたし空いてない。』

「…この家、実は街のすぐ近くなんだよなー。」

『へぇ。』

「……買い物行きたいな〜なんて――」

『行ってらっしゃい。』



あたしは寝転がったままラビにひらひら手を振る。


拗ねた顔のラビが見える気がするけど敢えてスルー。



「…俺、行っちゃうよ??」

『うん。』

「本当に行っちゃうからなっ??……あんたパンツ見えてるよ!!!!」



捨て台詞のようにそう言うとラビは出掛けていった。



『……………………。』



そういえば、学校帰りでそのままこの世界に来たあたしは制服だ。



つまり短めなスカートな訳で………


視線だけ向けるとスカートが少しめくれていた。
























『………変態兎っ…』



一瞬怒りのボルテージが上がりかけたが、疲れを感じたあたしはスカートを直すとそのまま眠りに落ちた。
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