月から堕ちたアリス
『あたし…これからどうすれば良いの…??』

「あんたは俺達ワンダーランドの救世主だ、アリス。女王のあの動揺ぶり――恐らくアリスは女王の悪事を止める力を持っているはずだよ。」

『そんなこと言われても、あたしにはそんな力なんて無いよ??』

「それは今女王に記憶を抜かれた状態だからだよ。その力を取り戻すためにはまず失ったアリスの記憶が必要なんだ。」



あたしの記憶…


けど、今までアリスの頃の何かを思い出すなんてことは無かった。

ラビが来なければあたしはあのままあっちの世界で一生を終えたと思う。



「アリスの記憶は自然には戻らないよ。」

『どういうこと?!』

「だってアリスは記憶を“抜かれた”んだ。記憶を戻すにはその記憶を探して手に入れなきゃいけない。」

『記憶を、探す――??』

「女王は記憶を抜いた後、それを4つに分けてどこかへ飛ばしてた…。アリスをあっちの世界にわざわざ飛ばしたってことは、つまり…









――記憶はこのワンダーランドのどこかにある。」

『あたしの…アリスの記憶が、ここに…??』

「だから、アリス。一緒に記憶を探そう。それで――

































ワンダーランドを救ってほしい……。」



ラビはそう言ってあたしに右手を差し出す。

































あたしは…その手に自分の手を重ねた。






























「不条理と非現実が支配するワンダーランドへようこそ、救世主(アリス)。」










――さあ。





今、長い長い物語の幕が開かれた。
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