君のとなり―昼休みの屋上で―
私がかけた言葉で、現実へと意識が戻ったみたいだ。
父はハッとしたようにこちらを向き、そして穏やかに微笑んだ。



「おかえり、はるか。」
酔っていない父の姿を見るのは久しぶりで、怒鳴っていない父の姿を見るのは久しぶりで、私は嬉しくなった。



『それでね、今日雪ちゃんがね』
日本語だけでは足りないのではと思うくらい、私は父にいろんな事を話した。



学校の事、友達の事、今流行っているテレビの事。



それらの全てを、父は微笑みを絶やすことなく「うん、うん」と頷きながら聞いてくれた。



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