君のとなり―昼休みの屋上で―
5時半になった。



時計を見た父は、そっと席を立つ。



「はるか、ちょっと出掛けてくるね。」
私の頭を撫でながら、父はそう言った。



いってらっしゃいを言おうと、私も席を立ち、父の後へ続く。



だが、玄関に着いたところで、私はとてつもなく不安に襲われた。



「じゃあ、行ってくるね。」



そう言った父に、私は叫んだ。



『お父さん!・・・・・お家に帰ってきたら、また私の話、聞いてくれるよね???』



尋ねる私に父は答えることなく、ただ微笑んで、「いってきます。」と呟いて家を出た。



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