君のとなり―昼休みの屋上で―

司会者から渡されたマイクをしばらく見つめた後、裕はそれを口元に近付けて話し始めた。



「あのさぁ・・・正直言って、誰でもいいんだけど。」





・・・





しーん・・・―――――――――――そんな効果音がつきそうな静けさに、会場は包まれた。



この場にいる誰もが、呆気にとられたような顔をしていただろう。








・・・しかし、こんな空気の中でも進めなければいけないのが司会者。おどおどしたように言葉を発した。



「あ、あのぅ・・・誰でもいいと、いいますと?」





そんな司会者を、ふっと嘲笑う裕。



「いいますと?って・・・そのまんまの意味でしょ。だからさ、








じゃんけんで決めといてくんない?」



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