恋・したい
可愛らしい絵に微笑ましくなる。
子供はいいね。真っ直ぐで純粋で。
汚れを知らない。

『ねぇ、こんなところに素敵な美術館があったなんて知らなかったよ。柚季のリサーチばっちりじゃん』
【違うよ、莉梨愛ちゃんの勘が鋭いんだよ】

二人で笑いあって目を見つめた。柚季の瞳が揺れていた。ぽおっと頬が熱くなっていくのが解った。

【莉梨愛ちゃんほっぺ紅いよ?】

そう言いながら指でちょん、と突っつかれ更に

【わぁ、すべすべ…】
と頬をするすると撫でられながら呟かれた。恥ずかしくて目が泳ぐ。どこ見ていいのか解らないんだもの…

「ママ見て!これゆうとがかいたんだよ!」
「すごいね―。とっても上手じゃない。これは誰なの?」
「ママだよ!ゆうとママがだいすきなんだもん!」

展示してある絵を指差し得意気に話している男の子とそんな息子を誉めてる母親。
素直にいいなあ、と思った。
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