准教授 高野先生の恋人

寛行さんは、これから帰ってまたガリガリお仕事なので、当然今日はお泊りはなし。

送ってもらう車の中でも、私たちは寸暇を惜しむように話し続けた。

彼と一緒にいるときは、どんなに喋り続けても飽きることなく楽しくて、

それでいて、どんなに長い沈黙だって苦にはならず心地よかった。


実は残念なことに、今日……というか今年はまだ、くんくんしていなかった。

いつもだったら隙を見て、くんくんも、すりすりもできるのに。

そういえば――

今日は、なんとなくその“隙”がなかったような……?

信号待ちで停車したとき、そんな私の心を知ってか知らずか、

彼は助手席の私を静かに見つめ、思いがけない台詞を口にした。


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