准教授 高野先生の恋人
美穂さんは一度にっこり微笑んで、そして真剣な眼差しで再び私をまっすぐ見つめた。
「鈴木さんが高野君を好きでいる限り、彼は絶対にあなたのことを裏切らないよ。
っていうか、うーん・・・あのね、もっと言っちゃうとね、
あなたが他の人を好きになってしまっても、彼はあなたを恨まない、恨めない・・・。
高野君って、幸か不幸かそういう性分の人なんだよね。
だからね、高野君にはちゃんと幸せになってもらいたいの。誰よりも、いっぱいね。
龍ちゃんの親友でもあるし、私にとってもすごく大事な人だし。
三人姉妹の末っ子の私には兄のようであり、実はときどき弟みたいだったり。
私も龍ちゃんも、それに田丸君も、みんな高野君の味方だけど、だけどね――
そういう味方とは違うもっと別の特別な味方が居てくれたらって私は思ってたの。
でも――
私の知る限り高野君の恋愛って、こんな言い方ヘンだけど“修行”みたいな感じでね。
彼女ができても、理解者や味方ができたというより、好敵手現るっていうか・・・。
けど、けどね、鈴木さんなら――
高野君の気持ちに寄り添って特別な味方でいてくれるような・・・私、そんな気がして。
だからね、もしも鈴木さんが高野君と同じように将来を望んでくれてるなら、
二人一緒に着実に一歩一歩進んでいって欲しいな、って。
高野君はちょっと臆病者ではあるけど、断じて卑怯者ではないから。
鈴木さんの想いや願いに、きっと精一杯に応えてくれるはずだよ。
だから――
高野君のことを信じて欲しいし、迷って大事なタイミングを逸して欲しくないの。
二人の問題だし周りがあれこれ言うなんて筋違いってわかってるよ。でも――
ごめんね、高野君の友達としての私の勝手なお願い。心からの素直なお願いなの」