准教授 高野先生の恋人

大学院を出たからといって、国文学をいかせる仕事なんてほとんどない。

私は図書館司書や学芸員の資格を持ってはいるけど、就職口はかなり少なく狭き門。

そんな私にとって今の職場に就職できるというのは非常にありがたいことだった。

「こういうの棚ぼたって言うんだよね?」

「けど、運も実力のうちというからね」

運・鈍・根が大切な研究者である彼が言うと、なんだかとても説得力がある。

「それに、確かに運もあるけどやっぱり君の人徳とか仕事ぶりとか、実力だと思うよ。

雇っても長く続かないような人には声なんてかけないだろうし。

やっぱり今まで君が真面目にきちんとやってきたからだと思うよ。おめでとう」

「そんなこと……」

彼が臆面もなく褒めるものだから照れくさくて居心地が悪い言ったらもう……。

もちろん、本当は彼に褒められて喜んでもらえて嬉しくってしかたない。

「あ。僕、おめでとうなんて言ったけど……返事、まだしてないよね?きっと」

「まだ、きちんとはね……」


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