准教授 高野先生の恋人

頭の上のほうから、彼の優しい声がする。

「びっくりした?」

「うん」

「怒ってる?」

「うんん。なんで怒るの?」

「“ガツガツしないでよ”って」

「ぜんぜん。私もガツガツするもん」

そうして私は、ぎゅーっとしがみつくように抱きついて、

彼の胸元に、ぐしぐしと鼻をこすりつけた。

「くんくん始め?」

「ん。くんくん始め、した」

くんくんくん。

今年の彼も思ったとおり、洗い立てのシャツのいい匂い。

私の大大大好きな彼の匂い……。


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