准教授 高野先生の恋人

翌週。月曜日、朝からバイトだった私が大学へ行ったのは夕方のこと。

学生の居室では桜庭さんを囲んで女性の先輩たちがワイワイ話に花を咲かせていた。

話の輪に加わるつもりはまったくなかったが一応ちゃんと挨拶はする。

「おはようございまーす」

どんな時間でも、その日初めてする挨拶は“おはよう”というのがここのルール。

私は図書館と学科図書室へ返却する本を持って、さっさと居室をあとにした。

学科図書室の返却箱に本を入れて、新たに本を借りる手続きをしていると――

「鈴木サン、やっぱりここだったね」

「あ、どうも」

朗らかなその声の主は、明らかに私を追ってきたであろう桜庭さんだった。

「少し、話す時間あるかな?」

「このあと図書館に行かなきゃなんですけど、少しなら」

こういってはなんだけど、なんとなく彼が私を追ってくるような気はしていた。

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