准教授 高野先生の恋人
彼の運転は基本的には教習所で習ったとおりの模範的な安全運転。
いつもハンドルを持つ左右の手は、もちろん10時と2時の定位置に。
なのに、今は――
「知ってる?世の中のAT車はね、この為に開発されたんだよ」
「もう、またそういうことを……」
その左手は膝の上で、私の右手をゆるく柔らかく包んでいた。
「君のうちまであと少しだね」
「ですね」
彼なら、彼と一緒なら……きっときっと大丈夫。
不安のモヤモヤ雲は薄らいで、私の心にはすっきりと明るい晴れ間がさしていた。
懐かしの我が家のすぐ近くまでくると――
「げげっ!」
「あれは、君の……???」
――しーちゃーん!おかえりー!!
な、なんと……
――ヒロユキさんも、いらっしゃーい!!
玄関の外で待ち構えたお母さんが、飛び跳ねて両手をぶんぶん振っていた……。