准教授 高野先生の恋人

彼氏と父親の初対面。

ともすれば重苦しい沈黙が必至であろうこのシチュエーション。

だけど――

「あ~っ、ワタシったらもう本当にヒロユキさんに会えるの、楽しみで楽しみで」

マイペースで底抜けに明るいお母さんのおかげで皆、意外と早く打ち解けられた。

初めはガチガチに緊張して様子ばかりうかがって話しづらそうだったお父さんも、

自分から寛行さんに色々な話をしたり聞いたりするようになった。

お母さんは、やれどこが好きなのかとか、何と呼び合っているのかなど、

まるで熱愛報道に燃える芸能リポーターみたいな話ばかり。

一方、お父さんはというと、話すのも聞くのも専ら仕事関係の話題ばかりだった。

私は、なんとなくつけっ放しになっていたテレビのボリュームが気になって、

音量を少し下げようと、リモコンをテレビの方向へ向けた。

会話も弾み和やかな雰囲気の今はもう、間を持たせる役のテレビは不要だった。


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