准教授 高野先生の恋人

テレビ台の空いたスペースに、ちょこんと一つ飾られたフォトフレーム。

フレームの中に収まっている風景は完全に季節外れのクリスマスのイルミネーション。

それは去年のクリスマスに私が両親へ宛てておくったクリスマスカードだった。

F女学院大のクリスマス礼拝へ出かけた折に水原先生が下さったカード。

先生は、友達か家族に贈ってみては?とおっしゃって私にそれを下さった。

子どもの頃はともかく、久しく親にクリスマスカードを贈るなんてことなかった。

だけど、23日の夜。寛行さんから田丸先生の奥さんの話を聞いて、

私は、お父さんとお母さんに感謝の気持ちを伝えなきゃという衝動にかられ……。

娘として両親に愛されているということ。

当たり前のようだけど、当然が正しく当然であることに心から感謝すべきなのだ、と。

カードをおくろうと思い立ったのが23日の夜で投函は24日。

結局、そのクリスマスカードが届いたのは26日だったらしい。

クリスマスに間に合わなかった、ちょっと間抜けなクリスマスカード。

新緑の季節なのに、堂々と部屋に飾られてあるトンチンカンなクリスマスカード。

楽しげなお母さんとぎこちなく微笑むお父さんの横顔に、私はちょっと胸がつまった。


< 287 / 324 >

この作品をシェア

pagetop