准教授 高野先生の恋人

お父さんは冷静に慎重に言葉を選ぶように話し始めた。

「交際していることをご両親に話されたということは、つまり――

高野さんは詩織との将来を真剣に望んでおられる、と?

詩織との付き合いは結婚を前提としたお付き合いと考えてよろしいんですね?」

お父さん、今さらそんなこと!?

お母さんから私の話を聞いていて、私たちがどういうお付き合いか知ってるくせに!?

そんな気持ちでお父さんを見る私を、お母さんが“落ち着きなさい”と目で制した。

戸惑う私をよそに、寛行さんは静かに落ち着き払った声でお父さんの問いに答えた。

「僕は詩織さんと、将来を考えて真剣におつきあいさせていただいているつもりです。

彼女はまだ学生ですから結婚より何より今は学位取得が最優先です。

ですが、大学院修了後のことは僕との結婚も視野に入れて考えていただきたい、と。

詩織さんにもそのように僕の気持ちをお伝えしてお願いしています。

もちろん、決めるのは詩織さんです。

ですが……僕の考え、僕の気持ちは今申し上げたとおりです」

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