准教授 高野先生の恋人
ソファーに掛けたままとはいえ姿勢を正して折り目正しく頭を下げる寛行さんに、
お父さんもお母さんも微笑みながら“まあまあまあ”と恐縮した。
「こちらこそですヨ!ほんとーに世間知らずな娘ですけどよろしくお願いしますね」
「お母さん!世間知らずって、もう……」
抗議する私にお母さんはわざとふふーんと聞こえないふりをしてみせた。
まあ実際、私は世間知らずかもだけど……。
お父さんは、おやおやと小さく笑って、それから私に諭すように言った。
「しーちゃんは、まずはちゃんと学位をとって大学院を修了しないと。
自分が今一番やるべきことは、ちゃんと自分でわかってるね?
そうじゃあないと、就職も結婚も話にならないんだから……頑張りなさい」
「お父さん……」
「高野さん、家内の言ったとおり詩織は世間知らずなところも多々ありますが、
真面目でまっすぐな子でもあります。ですから……娘をどうかよろしく頼みます」
そう言って、今度はお父さんが寛行さんに深々と頭を下げた。