准教授 高野先生の恋人

何よりも誰よりも私の幸せを願うお父さんの切なる気持ち。

それがひしひしと伝わってきたから、私はもう胸がいっぱいで、いっぱいで……

しばし言葉を失って、何も言えなくなってしまった。

そんな私の隣りで――

「僕のほうこそ……あらためて、本当によろしくお願いします」

寛行さんが再び頭をさげたので、私も慌てて、彼と一緒に心をこめて頭を下げた。

訪れる束の間の沈黙。

光差す明るいリビングは、静かで穏やかで、そして優しい空気に満ちていた。


お母さんの強引な誘いで、寛行さんにはお夕飯を食べていってもらうことに……。

私がお母さんを手伝って支度をしている間、寛行さんはお父さんの相手をしてくれた。

こういうときって囲碁やら将棋やらをするかと思えば、そうでもなくて……

二人はプレステ2を引っ張り出して、右に左に肩を揺らしてゲームに興じていた。

お父さんの背中や時折見える横顔がとても楽しそうだったから、

私は嬉しくなって、心の中で手を合わせて寛行さんに感謝した。

< 294 / 324 >

この作品をシェア

pagetop