准教授 高野先生の恋人

私たちは、お昼ごはんを食べようと、郊外のオムライス屋さんを目指した。

「だから、この駅にしたの?」

「うん。あの店ならここからのほうが近いし、Y駅のそばは車が止めづらいからね」

見知らぬ駅で待ち合わせて、大好きな人と一緒に美味しいご飯を食べに行く。

幸せで心躍る冬の日の午後。

素敵なドキドキとワクワクで、私たちの新しい一年は幕を開けた。

「なんか、忙しいのにごめんなさい」

「うんん。どうせご飯は食べるんだしさ。だったら君と一緒に食べたいじゃない」

寛行さんは私より早く、2日の夜にはもうこちらへ戻ってきていた。

そして、戻ってからむこう、ほぼ缶詰状態で論文の執筆作業に集中していたのである。


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