准教授 高野先生の恋人

彼は“よし!”と言って、ひょいと素早く立ち上がると、

私の隣りにやって来て、よっこらしょっと腰をおろした。

「では……聞いて、くださいますか?」

「お願い、できますか?」

私は彼に猫のように擦り寄って、その肩にこつんと頭を傾けた。

寛行さんのお話の、始まり始まりである。

「夢というか、僕が“こんな感じかなぁ”って想像するのは――

まずね、季節は秋……僕らは海へ出かけるんだ。ひっそり静かな秋の海に、ね。

その日は清々しい秋晴れか、或いはちょっと薄曇りか。とにかく雨は降っていない。

で、しばらく二人で手を繋いで海岸をぶらぶら歩いて、さ。

それから、頃合をみて僕は立ち止まる。すると、君も一瞬遅れて立ち止まる。

そして、僕は緊張しつつも平静を装って、さらさら~っと君に言う、のだけど……」

彼はそこで言葉を区切ると、私の顔を覗き込み、いたずらっ子のように微笑んだ。

「君はわかる?僕がなんていうつもりか」

「そんなこと、いきなり聞かれても……」

“ここで問題です”なんて、そんな“おあずけ”ひどいと思う。むぅ……。
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