准教授 高野先生の恋人
私がおずおずと顔を上げ、ちらりと彼の顔色を伺うと、
彼はまるで気づかぬような素振りを見せて、こちらを見ないで話を続けた。
「“文学やってるくせに”って、いつも君に怒られてるけど、まさにそのとおり。
僕はきっと気の利いたカッコいい台詞なんて思い浮かばないからね。
だから、ごくごく普通にシンプルに正攻法でいくんだろうな、って。
“僕のパンツを洗って欲しい”も“味噌汁作ってくれ”も僕らの場合、今さらだし。
何しろパンツは洗濯してもらってるし、味噌汁だって作ってもらっているからねぇ。
まあ、もっとも――
今どきそんな古臭い捻り方した台詞なんて、ウケ狙いでもあり得ないだろうけどさ」
ふふーんと何でもないふうを装ってるけど、彼だって、照れているに違いなかった。
そんな彼の下手な照れ隠しは、私をとても喜ばせ、そして、ほっと和ませた。