准教授 高野先生の恋人
こうして一緒にいられるこのときが、何より大切で愛おしい。
このかえがえのない時間を、一瞬一瞬を、二人で大事に重ねていけたら――
いくつもの季節を越えて、ずっとずっと、二人で一緒に歩んでいけたら――
「寛行さん」
「うん?」
「動物園に行ったらね、サル山の前で一緒に写真撮りましょう?」
「そうだね。僕の思い出のサル山でね」
「でね、明日だけじゃなくって、来年も再来年も、毎年行って撮るんです」
「毎年?」
「そう、“メモリアル サル山”です」
毎年……同じ季節に、同じ場所で、同じ人々で撮る記念写真。メモリアル。
「そりゃまた、なかなかおもしろそうだ」
「もうね、“僕の”じゃなくて“僕らの”思い出のサル山になるんですよ」