准教授 高野先生の恋人

私を回収にやって来た寛行さんの第一声は、非常にあやしくいかがわしかった。

「君が、お熱を出した詩織ちゃんだね?」

おいおいおい、あんたは事件の聞き込みに来た刑事かいな!

それとも何かい?ナントカ系の待ち合わせってのはこんな感じなのかい?えぇ?

いつもなら、経験と愛の力で冷静に分析し、適切な対応ができる私だけど、

今日ばかりは、高熱で思考力が著しく低下していて、まったく頭が働かない。

気の利いた返しも思いつかぬまま、私がとろんと虚ろな目で彼をじっと見つめると、

「わかった。君がお熱を出した詩織ちゃんに間違いないね。もう大丈夫だからね」

彼は一人で勝手に納得?して、私の頭をよしよしと撫でた。

なーんじゃ、こりゃ……。

突っ込みどころは満載だけど、さすがに今はそれをするだけの体力もない。
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