准教授 高野先生の恋人

蕎麦かうどんかちょっと迷って、結局、今日はお蕎麦にした。

お蕎麦にしたのは、食欲がなくてもなんとか食べられそうな気がしたから。

私は、運ばれてきた“おろしそば”を黙々と食べた。

元気がないときこそ食べなきゃね!なんて前向きな気持ちじゃなくって、

自分には食べなきゃいけない義務がある……そんな気持ちでとにかく食べた。

明らかに言葉数も少なくて、しゅんと元気のない私の様子に彼が気づかぬわけもなく、

時折、彼の心配そうな視線を感じたけれど、私は目をあわさずにそ知らぬ顔をした。


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