准教授 高野先生の恋人
夕方、おやつにはもう遅く、だけど晩御飯にはまだ早いくらいの時間。
眠っていた私のカラダの中で一番早く起きたのは、目でも耳でもなく鼻だった。
ふわりと漂う夢のような甘い香りの出所は台所。
「あ、起きたね。おそよう」
「おそよう…」
そりゃあね、早くないけどさ、ぜんぜん…。
いったい何を作っているのかとフライパンの中を見て、私は驚きの歓声をあげた。
「わぁ!でっかいね!ふっくらだね!」
フライパンの中は、ホットケーキと呼ぶにはフカフカに分厚く膨らんだ――
「僕は、ぐりとぐらと友達なんだ」
そう、子どもの頃に絵本の中で見た、あの憧れのカステラだった。