准教授 高野先生の恋人
私はちょっと顔を上げると、ひざを抱えた格好のまま、ころんと彼のほうへ傾いた。
まるで本棚のわずかな隙間のせいで、バランスを崩して斜めに倒れかけた本みたいに、
中途半端に彼にこつんと寄りかかった。
「寛行さんはね、きっと私よりも長く生きると思う」
「おやおや、そのココロは?」
「低空飛行で長生きタイプ、だから」
「なにそれ?」
「ん?森岡先生が言ってたもん」
「あいつー、んなこと言ってたのかぁ」
彼は、苦々しげに言いつつも、愉快そうに朗らかに笑った。
「けど、森岡が言うならそうかもなぁ」
「ん?」
「僕はきっと君よりも長く生きる。ただし、ほんのちょっとだけだろうけどね」