恐怖 DUSTER
・・・あの人・・・?


・・・また、あの人だ・・・?


たびたび麻美や千恵の口から出てくる、あの人のことが弥生は気になった。


弥生の頭の中は、その謎の人物のことでいっぱいになっていく。


・・・あの人って・・・


・・・いったい誰・・・?


弥生は、前の自分の記憶を何度も呼び起こしてみるが、あの人に該当する人物を思い起こす事はできなかった。


うなだれた感じで物思いにふける様子の弥生に麻美が強い口調で言った。


「弥生!ちゃんと聞いているの?」


麻美の声で我に返った弥生は自分を見つめる皆の視線に戸惑い慌てて答えた。


「だ、大丈夫よ!ちゃんと聞いているから」


「弥生!何度も言うけど、弥生の心は私達と違って心の思いが弱いんだから、ちゃんと私達の悲しみ、苦しみ、怒り、憎しみを心の中に記憶して、気持ちを一緒にしないといけないんだからね!」


「わ、解っているから。ちゃんと皆の気持ち記憶しているから」


言葉では、そう言う弥生であったが、やはり怒りと憎しみの感情だけは理解できずにいた。


・・・自分は、あの暗闇の場所に閉じ込められていた時はき奥が無かったから、皆のように怒りと憎しみの思いが弱いのだろうか・・・?


・・・でも、里美も記憶は無かったのに麻美や千恵と同じように怒りと憎しみの感情を強く持っている・・・


・・・やはり麻美の言うように、自分の心の思いが弱いのだろうか・・・?


「弥生!」


その麻美の声に驚き怯えた里美が千恵の背に隠れた。


「弥生!あなた本当に解っているの!」



今まで、弥生に対して慈愛の思いで接していた麻美が豹変したように激しく強い口調で言った。




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