恐怖 DUSTER
「でも、あの人が里美は外の世界に出るのを恐れて眠り続けているのであって入れ替わりには成功したと言ってくれた時にはホッとしたわ」


「麻美は入れ替わった事に安心したんだろうけど、私はそのまま里美が目覚めないのかと思って不安でしょうがなかったよ!」


またもや麻美の言葉に、千恵が表情を強張らせた。


「ね、ねえ?里美はどれくらい眠り続けていたの?」


弥生は再び険悪な感じにならぬように言葉をかけた。


「里美の誕生日から今日までよ、つまり弥生の誕生日までね」


・・・私の誕生日まで・・・?


「里美の誕生日は、私の誕生日より10日早いからそんなに眠り続けていたの?」


「そうよ、だから千恵は10日前から学校も休んで看病という事にしてずっと里美に言葉をかけ続けていたのよ」


弥生は記憶を辿り、千恵と里美が10日前から学校を休んでいた事を認識した。


「麻美が前の私に、里美が体調を崩していて千恵が里美のお婆さんの代わりにずっと看病しているって言ってたのは、里美の入れ替わりと眠りから目覚めさせていることを、前の私に気づかせないためだったのね」


「そういうこと。弥生の入れ替わりの日も近づいていたからね」


麻美がの言葉の後に千恵が間髪いれずに言った。


「麻美の大切な弥生の入れ替わりの日がね!」


千恵の強い口調に、弥生と里美が戸惑った。


しかし、千恵の皮肉交じりの言葉にも、麻美は微笑みながら答えた。


「そうよ、私の大切な弥生の入れ替わりの日がね」


なんの抵抗も無くあっさりと言い放つ麻美に、千恵は呆れた表情で言葉を無くした。


「あの人が、里美は無事に入れ替わっているから後は千恵が言葉をかけ続ければ必ず目覚めると言ってくれたから、私は弥生の入れ替わりに集中する事ができたのよ」


「私だけに里美の事を任せてね」


千恵の言葉に麻美は微笑みながら言った。


「だって、千恵の大切な里美でしょ」


さきほど自分が言ったような皮肉の言葉を、さらりと麻美に返され千恵は苦笑いをした。
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