恐怖 DUSTER
「はっきり見える!私には弥生の後ろの子が、もうはっきり見えるの!」



「はっきりて、なにがどうはっきり見えるていうのよ!」



弥生の後ろの女の子など、何も見えない裕子は麻美の言動に怒りを覚えた。



「麻美!状況を考えてよね。あんたの言葉は弥生を怖がらせるだけなんだから!」




恵子も裕子の意見に同調するように言った。




「そうだよ麻美、いまは女の名前を言い当てないと」



「ごめん、そうだよね。いまはこの子の名前を言い当てないとね・・・」



「無駄よ・・・」



「えっ!」



突然聞こえた否定的な言葉に三人は驚きお互いを見回した!



「いまの誰?誰が言ったの?」



裕子は、麻美をにらむように視線を送って言った。



麻美は、首を大きく横に振り、自分で無いと無言で強く主張した。



裕子の視線はそのまま恵子の方へ向けられたが、恵子も慌てて否定する。



「わ、私じゃないよ!いまのは、私じゃないから!」



三人の視線は、弥生に向けられたが恐怖で失神寸前の弥生は口を聞ける状態では無かった。



「クス、私よ・・・私が言ったのよ・・・」




弥生の後ろにいる女が、髪に覆われて見えない顔をゆっくりと上げて言った。




「もう、裕子ちゃんと恵子ちゃんにも声は聞こえるでしょ?私の声が・・・」



突然、どこか解らないところから、自分の名前を呼ばれて驚き戸惑う裕子と恵子。




麻美は、女の口がニヤリと笑うのを見た・・・
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