恐怖 DUSTER
女は、裕子の方にも視線を向けて言葉をかける。


「裕子ちゃんは、私を見ることができないの?」


自分に突然声をかけられ、恐怖を打ち消すように女の名前を呼び続けた。



「もう、やめなよ裕子ちゃん・・・肝心の弥生ちゃんが壊れかけているのに」



弥生は、すでに恐怖によって精神が崩壊寸前であった。



女は、恵子のほうに振り向くと同意を求めるように言う。



「ねぇ、恵子ちゃんもそう思うよね・・・?」



「もう、何をしたって何も変わらないのにね・・・」



恵子は、恐怖のあまり弥生を押さえていた手を離し両手で耳をふさいだ。


弥生は、既に放心状態になっていて、恵子が離した瞬間その場に崩れ落ちた。


「あっ!」


裕子が、支えようとしたが一人では支えきれず、弥生は前のめりに倒れていく。



そんな状況でも、弥生の後ろにいる女は弥生の目を隠したまま共に倒れ込んだいった。




「弥生ー!」



裕子の叫び声が響く。




弥生は、顔から地面に叩きつけられていくように倒れ込んだ。




その瞬間、麻美が飛び込み弥生を受け止めた。




麻美は、受け止めた弥生を抱き上げるように起こして叫んだ!




「弥生!自分の名前を呼ぶのよー!」




その叫び声にいち早く女が反応し、麻美を恐ろしい表情で睨みつけ叫んだ。




「お、お前!よけいなことを言うなー!」



「よけいなことを、言うなー!」



「言うなー!」


「言うなー!」


「言うなー!」




女は、悲痛な声をあげ、何度も叫び続けた・・・
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