恐怖 DUSTER
麻美は女の声を無視して、精神が崩壊まじかの弥生に視線を向けて力強く言った。



「弥生、名前を言って!あなたの名前を言うのよ!」



女は、麻美に憎悪の目を向けながら、地の底から響くような声をあげた。



「麻美、よけいな事を言うなー!やめろ、やめろ、やめろ、やめろー!」



麻美は構わず、弥生の肩を掴み強く揺り動かした。




「弥生、早く!早く自分の名前を言って!早く、早く、急がないと!」




「やめろと言ってるだろー!やめろ、言うな!言うな!」




「弥生、しっかりしなさい!気をしっかり持って!早くあなたの名前を言うのよ!」




「言うな!言うな!言うな!言うな!」




裕子と恵子も、麻美と女の言葉で、いま自分がすべき事を迅速に判断し行動した。




「弥生!お願いだから麻美の言う事を聞いて!」




「起きて、弥生!早く起きて!」




裕子と恵子も弥生に向かって何度も呼びかけた。





女は、怒り狂ったように、三人に向かって叫び続ける。



「お、お前ら!やめろと言うのが解らないのかっー!」



「やめろ!言うな!私を弥生から離すなー!」



裕子と恵子は、女の慌てふためく声を聞き、麻美の言う事が弥生を救う事なのだと確信した。
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