恐怖 DUSTER
弥生は今まで封印されていた記憶を呼び起こしていく。


「そ、そう目が覚めて・・・体のあちこっちが痛かったのを覚えているわ」



「と、隣の席にいた知らない小母さんは・・・小母さんは、私の下で死んでた・・・」



弥生が助かったのは、その小母さんが恐らくクッションとなったからであろうと麻美は推測する。



「わ・・・私、怖かったから皆が出て行く運転席の方へ必死に這うように行ったの・・・」


「誰かが、後ろから火が出た!と、叫んでから大人の人たちは皆、我先にと逃げ出そうとした・・・」


「そう!あの人達は負傷して動けない人達も踏みつけて逃げ出して行った」



麻美の表情が再び憎しみと憎悪に満ちていく。



「私も弾き飛ばされて倒されてしまい、慌てて皆が出て行った後を追いかけ外に出ようとしたら・・・」


「・・・したら・・・?」


麻美は何かを期待するように弥生に問いかけた。



「後ろの方から女の子の声が聞こえたの・・・」


「なんども、なんどもお母さんを助けて!・・・そう叫ぶ声が・・・」



「あ・・・あの声・・・あの声は、麻美・・・」



麻美は再び弥生の手を握り締め、熱い思いを込めて言った。





「そう、私よ。あの時の声は私の声、弥生やっと思い出してくれたのね」
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