恐怖 DUSTER
「裕子も私たちと同じ!」

「そう、裕子もね。だけど裕子はまだ誕生日を迎えてないから、入れ替わってないけどね・・・」

「じゃ!6歳の裕子は、まだあの暗闇の場所に閉じ込められているのね」

「弥生、ちょっと待ってよ!まだ里美や千恵の事も全部説明してないんだから」

弥生を制するように言う麻美。

「あ、ごめん・・・ちょっとびっくりしたから・・・」

「話を戻すよ?前の千恵は前の里美と一緒に行動するようになってからは、とても仲良くなっていったわ」

「私達のグループの中でも特にね」


麻美が千恵と里美に視線を向けながら言った。

「なに言ってるのよ?そう仕向けたのは麻美でしょ!」


千恵の指摘に麻美は笑顔で答えて話を続ける。


「まあね♪でも、そのおかげで前の千恵は前の里美に対して心を開いたから、あの暗闇の場所に閉じ込められ謝罪し続ける事しかできなかった千恵も自分という存在を知る事ができたんじゃないの」


「たしかにね♪」


今度は千恵が麻美の指摘に笑顔で返した。


「自分が何者であり、なぜ自分が何も見えない暗闇にいるのか、考える事ができるようになったのよ」


「それに時々、麻美が前の私を通して閉じ込められている私に言葉をかけてくれたしね」


「前の千恵は、自分に言っていると思い込んでいたけどね」


楽しそうに笑う麻美の表情は、また弥生が感じていた魔性の笑顔であった。



・・・弥生の中で、また麻美に対する疑念が生まれる・・・


「ねぇ?もしかして麻美は、あの事故に遭遇した子達を全て把握しているの?」


弥生の質問に麻美は屈託の無い笑顔で答えた。


「うん♪もちろん全て把握しているよ、散々調べたからね」


「あの事故で私たちと同じ思いをした子は、どれだけいたの?」

「どれだけって・・・?弥生はもう全員と出会っているじゃない」

「えっ!」



・・・全員と出会っている・・・!












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