恐怖 DUSTER
驚いている弥生を、千恵と里美は冷静な目で見つめていた。

「弥生、もしかして解ってないの?」

里美がぽっりと言う・・・

「入れ替わった麻美はね。その後、あの事故に遭遇した子達を調べて探し出し、友人関係を作り上げていったのよ」

千恵は、呆れた表情を弥生に向けながら言った。

弥生は千恵に言われて、初めて麻美の考えに気がついた。

・・・たしかに、過去を思い起こせば、前の私に麻美が積極的に話しかけてきて友人となった・・・

・・・千恵や里美や裕子と知り合ったのも全て麻美を通してである・・・

・・・麻美は入れ替わりのために、私たち全員に友人関係を築き上げさせていったんだ・・・

・・・あの場所に閉じ込められている私達を解放するために・・・

・・・でも・・・

弥生は麻美を見つめ、時々感じる麻美への違和感を考えてみた。


・・・あの暗闇の場所に閉じ込められている私達のためとはいえ、仲の良い友人関係を築き上げていった前の私達を、麻美は何も感じず入れ替わりの計画を実行に移したのだろうか・・・?

・・・前の私の記憶の中には、入れ替わる前の私達と仲良く遊び笑顔で語り合う麻美の記憶がある。その麻美の笑顔も計画のためのものなのであったのだろうか・・・?

・・・だとしたら、時折麻美から感じる魔性も理解できる・・・


・・・あれ?・・・


弥生は、思い出し疑問に感じた事を麻美に問いかけた。


「麻美、恵子は?恵子も私達と同じなの?」


「恵子?恵子はね・・・」


そう言いかけて麻美はやめた。


「弥生。だから言ってるでしょ!話しには順序があるのよ、まだ里美の事を話し終わってないから」


少し強めの口調で言う麻美に弥生は気押されてしまった。


「ご、ごめん・・・話を続けて・・・」


弥生の中で麻美に対する疑念が大きく広がっていく・・・



・・・なんだろう?麻美に感じるこの違和感は・・・?
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