ぼくの 妹 姫



私は知ってる



人間はみんな
平等じゃないってことを



上には上が
下には下が


天は人の上にも下にも人をつくる



宙は間違いなく


私の上にいる人


生まれながらに努力しなくても


認め、受け入れ、抱きしめてくれる存在がいる人



宙は愛を知ってる人だ



宙は知らないでしょう?



私みたいに



誰でもいいから


自分の存在を肯定して欲しいと


小さな子供みたいに


いつも 心の底で求める人を



誰か、誰か、誰か


私を認めて欲しい


私の存在を認めて欲しい


生きてることを許して欲しい


『死ねばいい』と冷たい視線をぶつけた母の



私に対する全てを



一瞬でいいから消して欲しい



記憶の中の母が追いかけて来ないところへ



ほんの一瞬
ほんの一瞬


私を連れ出して



そこに
真実も永遠もなくていいから



こんな私の気持ちに気付かずに



私が好きだと



この一瞬



言って欲しい



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