ぼくの 妹 姫
空き教室の片隅で
埃っぽい床の上
服のまま
身体を繋げる
大きな窓には
突き抜けるような
青い空が広がってた
呼吸を乱して
身体を揺らす
お兄ちゃんの髪を撫で
「………お兄ちゃん
蕾ね、お兄ちゃん大好きよ」
哀しそうな顔で
私を抱くお兄ちゃんが
どうしようもなく
愛しく思えた
「……蕾ね、
お兄ちゃんのことが
……だーい好きよ……」
まぶたを閉じると
私が見えた
『長くは続かないよ』
教室の片隅で
制服のまま
お兄ちゃんと戯れる私に
もう1人の私が
冷たい声で言う
『長くは続かないよ
こんなことしても
何も手に入らない』
大きな窓から見える
あの青い空には
まだ夏が残ってる
だけど、もうじき
確実に夏が終わる
もう少しだけ
このまま
このままでいたい
「………お兄ちゃん……
……大好きよ…………」
お兄ちゃんの持つ暗闇と
私の持つ暗闇を
繋げていたいの
誰も触れることのできない
誰も救うことのできない
誰も侵すことのできない
暗闇で ずっと戯れていたい