ぼくの 妹 姫
学校帰り
スーパーに寄り
食材を買ってから
家路についた
買い物袋と
スクールバッグを提げ
アスファルトの道を
にらみながら歩く
家の50M手前で
一瞬、強い風が吹き
街路樹がざわざわ揺れた
アスファルトの道から
顔を上げ家を見ると
―――――――――――来た
何か予感があった訳じゃない
なのに、家の前
ボストンバックを持ち
うつむく彼女を見た時
とうとう来た
そう思った
私からお兄ちゃんを奪う
死神が来た―――――――
彼女は
呆然と立ち尽くす私に
視線を向け
「あっ」という表情をした
そして
「もしかして、蕾ちゃん?」
返事もしないで
ただ彼女を見つめた
彼女は私の元に駆け寄り
「わからないよね………
私、従姉妹の美紗です
高校の時、楓と………
あなたのお兄さんと暮らしてた
美紗です」
ニッコリ笑う彼女の
甘い香りが
風に乗って流れる
従姉妹の美紗さん
お兄ちゃんの元カノだ