ぼくの 妹 姫




美紗の作った
肉じゃがを食べながら
蕾は終始にこやかだった




「作っていただいたので
後片付けは私がやります
美紗さんは
ゆっくりしてください

あ、お風呂の用意も
出来てますよ」



微笑みを崩さず
テーブルを片付ける蕾は
なんだか妙に大人びて見える




ぼくはお茶をすすりながら


「悪いけど
うちは客間がないし
美紗は蕾の部屋に
布団を敷くから」


そう言い
美紗もうなずいた時



「嫌よ、そんなの」


蕾がキッチンから
顔を出して言った



「私、知らない人と
一晩一緒なんて無理
美紗さんは
お兄ちゃんの部屋で
寝てください」



「なに言って……
じゃあ、ぼくは?」


ソファーから立ち上がり
キッチンに向かい
蕾の肩を掴むと




「美紗さんと一緒に寝れば?
平気でしょ?
一緒に暮らしてたんだから」



「一緒にって――――――」



ぼくを見上げる
蕾の真っ直ぐな瞳に
…………まさか



いや、まさか
蕾が知ってるわけない
ぼくと美紗の関係なんて…





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