ぼくの 妹 姫




結局、美紗はぼくの部屋に
ぼくはリビングのソファーで
眠ることになった





ソファーに寝転がり
タオルケットを掛け
暗い天井を見上げる



チッ、チッ、チッ、チッ………
壁掛け時計の秒針の音


冷蔵庫の唸るような音


天井のあたりから
家が軋むような音



静寂の中に
小さな音がまざり合い
空間に渦を作っていく



天井に目を凝らしてないと
見えない渦に巻き込まれそうだ




……………ダメだ




ぼくは やっぱりダメなんだ




蕾を知る前は
苦しみにも耐えられた



だけど、今のぼくは もう
蕾を知ってしまった



あの たまらなく心地よい
柔らかい肌と
無邪気な笑い声




ぼくと蕾だけの
許された時間―――――――





気がついた時には
起き上がり
蕾の部屋へ向かってた






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