ぼくの 妹 姫
「………オレだって
もう終わった事件を蒸し返すほど
暇でもなければ、真面目でもないんだ」
「だけどな」って呟いてから
「誰も気がつかなかったから
罪が消えるわけじゃない
楓くんの中に
罪はずっと残り
誰にも言えない重たい十字架を独り背負って
キミはずっと生きていくんだ
誰も責めてさえくれない
償いたくても償えない
楓くん
キミは償う事すら許されない
そんな道を歩んでいくんだよ」
まるで呪いみたいな
稲垣刑事の言葉
「悪い事した子供を叱るのは
『ごめんなさい』って言える機会を与えてやる為って思わないか?
謝る事すら許されないなんて
1番、キツいだろ?」
それだけ言って稲垣刑事は去って行った
ぼくは しばらく そこから
動く事が出来なかった