ビー玉
「うわ-…今回も豊作だね」



3人がカバンから次々と取り出す。



化粧品、香水、服、マンガ…時計。




「は?!宏美…それ時計?!」


あたしはカバンから今はやりのブランドの腕時計を取り出した。



「さすがに時計は無理だわ…どうやって盗ったの?」



「へへ…この違いっしょ」


そういってあたしは自分の腕をポンポン叩いた。


「うわ-ムカつくわ-!でもこれじゃ今回もまた宏美の買ちだね」



「まいど-!」



ゲームというのは万引きした商品の数ではなく総額を競うもの。



そしてあたしはまだ1度も負けたことがない。



盗った商品は、勝った人から欲しい物を選んでいく形で山分けする決まり。


「あ!このCD欲しかったんだぁ!」


「そう思って2枚持ってきたよ!あたしも欲しかったからさ」



「さすが宏美さん…!ありがたす!」




中学生はお金なんて全然持ってないけど、欲しい物は山のようにある。

タダでこれだけ手に入るんだから。

お金を払うなんてバカバカしくて、あたしには出来なかった。



真由や典子はスリルがあって楽しいって、手当たり次第に物を盗んでいたけど。


あたしはゲーム以外ではただ単純に


欲しいものを、



欲しいだけ。



ただ…欲しい物は山のようにある。
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