空の果て星の息吹

世界の終わりと始まり

東京に着くが、テロの影響で交通機関が麻痺していており足止めをくらった。


迷彩塗装の自衛隊車輌が行き来する。


携帯で伯母に連絡しながら都庁に向かい伯父の無事を確認したかったが、中々進めない。


都庁方面は交通封鎖をかけられている様だった。


近くにあったレンタカー屋でバイクを借りると都庁に向かった。


都庁方面の空が真っ赤に燃えている。


バイク用のナビを使い、裏路地検索のおかげて空いていた裏路地を使って近くまで来た。


都庁の各階から赤い炎があがる・・
規制線が張られていて警官と自衛隊が入らないように見張っていた。


到着して数分後に地震の様な地響きがして巨大なビルが音を立てて崩れ始めた。

都職員が叫び声をあげて避難する。
非難した職員達が集う仮設テントに向かう。


救急車のサイレンの音と怪我人のうめき声に、嗚咽。

まるで阿鼻叫喚とはこういうものだと実感した。


『すいません・・・遠野孝宏を知りませんか?』


誰でも良かった、ただ伯父の安否を確認したかった・・・どこからか伯父の声がすると思っていた。


怪我人で溢れた人の山を掻き分け歩きながら、名前を呼んでいると、五十半ばの頭に包帯を当てた老夫人が声をかけてきた。


『世田谷区役所の遠野さんの子供さんかね・・・』 

やっと安否を知ってそうな声が聞けた。


『はい・・・父は?どうなりましたか?』


老夫人は悲しげな表情になり・・ゆっくりと口を開いた。


『遠野さんは、爆発があり私たち女性や年配者を誘導している途中で・・・爆発に巻き込まれたのか・・・見えなくなって・・・』


微かな希望の糸が、その言葉で消えた・・・気がした




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