ユピテルの神話
十年という長い年月をロマと過ごしてきました。
その間に、彼には僕の想いが伝わる様になっていました。
「友人」として、
僕はロマが好きでした。
ロマも、僕の不思議な力を抜きにしても「友人」として好いてくれていたと思います。
僕たちは互いを信じ合える、心地好い関係を築いたのです。
しかし、
人間というのは信じ合える者ばかりではありません。
信じ合えない者も、
村人の中には沢山居たのです。
「村長ばかりがユラの不思議な力を独占している」
表立って口にする者は居ませんでしたが、悲しい事に僕たちの関係をそうとしか感じ取れない者も村人の中には居たのです。
「村長の願いばかりでなく、俺たちの願いも聞いてくれ!」
「村長には秘密で、頼まれてくれないか」
そんな村人が僕の元を訪れる度に、僕は悲しくなりました。
ロマが僕に願うのは、
村全体を思っての事ばかり。
ロマ個人の願いなんて、当然今まで在りはしませんでした。