ユピテルの神話


――花たち、泣いてるよ。犬竜も泣いてるよ。哀しくて、哀しくて、泣いてるよ。―――

――エマの所に行きたかっただけなんだよ。エマに、元気になって欲しかっただけなんだよ。犬竜が、泣いてるよ…。―――


僕は、
もう耐えられませんでした。


「…おじいさん!僕、村へ行きます!ロマが…!」

『しかし、お前さんが今行ってしまったら…!』

「――でもっ!!」


――ポタポタ、って。雨だよ。村に、雨が降ってきたよ。―――


「……雨…?」


――ポタポタ、が。ザァザァ、に変わったよ。沢山の、沢山の雨だよ。―――


僕は、泣いてはいません。

「……ロマ…?」


――森の主!大変だよ!地面が揺れてるよ!グラグラ、グラグラ揺れているよ!―――

――助けて、助けて。って、村人たちが崩れていくよ。僕たち、風もどうしたらいいか、右往左往してるよ。慌てて、村人に沢山ぶつかるよ!―――


もう、何が何だか…
分からなくなりました。

村は、大雨。
大地は揺れている…。
風たちは、
慌てて村を吹き荒れる。


僕は、未だ怒ってはいません。

「……ロマ…」

ロマなのでしょう。
彼は、僕の心の一部です。


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