ユピテルの神話


だからこそ…

相手の想いを、
僕の想いを、
優しく汲み取れる、エマ。


「それにね?見えなくても良い物まで見えてしまうのは…、知ってしまうのは、怖いのよ。」

「…ごめんなさい…」

僕は、エマを否定したかったわけではないのです。

エマは、だからこそエマなのだと分かっているはずなのに…。
だからこそ、僕が穏やかに僕で居られるのだと分かっているのに…

ただ僕を沢山感じて欲しかったという、僕の我儘でした。


「…ユラは優し過ぎるわね?どうして謝るの?私こそ、折角の貴方の想いを…御免なさい。」

エマは羽根をしまい、いつもの瞳で穏やかに言います。


「ユラは、自分の気持ちや自分の願いは、あまり口に出さないわ。それが何故かも、私は知っているの。貴方の心は、誰よりも私が知っている。私は私が尽きるまで、ユラの隣に居るのよ。」

そう僕の手を握り、
僕の腕に寄り添うエマは、幸せそうに微笑みました。

その言葉は、
僕を支える「全て」でした。

この幸せを胸に噛み締めながらも、「彼女が尽きる時」を想像して哀しくなるのです。

その時僕は、


世界ヲ壊シテシマウ。

彼女ガ尽キタラ…

僕ガ僕ヲ、
壊シテシマエバイイ――



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