七罪巡り
「タキ、シノずる休み?」
「らしいね、あれが駄目人間だからホシはこうならないようにしてよ?」
「大丈夫!ホシはあんなふうにならないからね!」
「うん、良い子」
2人の会話が心にチクチク刺さるような気もするけれど、耳を塞いでやり過ごす。
こんなサボリ癖がついたのはいつからだっただろう?
考えてみれば中学校でもそうで、小学校でもそうで、幼稚園すらそうだったかもしれない。面倒なことはとことんやりたくない性分だからだと言って、ずっと正当化してきた。
「お前ねぇ、学校サボるとかどーでもいいけど寝てんなニート」
「いてっ!やめ、わかったから!ホシも下りて」
一応この中では年長者であるタキが『学校サボるとかどーでもいい』はまずい気もするけれど、
そうツッコミを入れる前に腹辺りを何度か蹴られて更に上からホシ―最軽量モデルでも50キログラム―に馬乗りにされて胸部を圧迫された。
これはひどいDVではないか。
「学校行かないならこっち手伝えよ」
「…言っとくけど、俺は殺さない」
「分かってんだよ、別に嫌々殺す必要ねぇし」
シノが殺し出したら単純にオレの分減るしな。
そう言って笑ったタキの顔は楽しそうな笑顔だった。
『殺す』なんて言葉を口にしながらこんな表情をするなんて、どこまで狂っているんだ。
「でもいい加減スロウスの奴らばっか殺すのも飽きてきたし、大将取っちまうか」
「スロウスは飽きるのか?」
「無気力、不動。オレは麻酔打った生き物を解剖したいんじゃねーの。」
同じタイプ、スロウスの人間であるオレは何ともいえない切なさに襲われた。
オレもどうにかして―どうするかはまだ分かっていないけれど―このタイプの罪神である『スロウス』から感染すれば、今以上に無気力になってしまうはずだから。
「なんでこんな風になったんだろうな…」
「知らねぇよ。でも、オレにとっては楽園みたいなモンだ。」
「タキ、嬉しそうだね!」
「おう、夢みたいな世界だ」