俺様VAMP!
私の間近までやってきたイツキさんが、柔らかく微笑んだ。
「あ。市原さん?市原詩乃さん…だよね」
彼が持つ、優しそうな雰囲気に、幾分安堵しながら、私も軽く微笑み返す。
「…はい」
「よかった。遅いからどうしたのかと思ってたんだ。蓮に捕まってたのか」
「イチハラ、シノ……ね」
イツキさんの横で、無遠慮に私の名を反復したレンって人は。
…無視する。
「はじめまして。斎 卓斗です。君が入る特別寮の寮長をしています」
「あ!はじめまして。…市原詩乃です。よろしくお願いします」
彼の丁寧な笑顔に、私は深々と頭を下げる。
寮長さんなんだ…。
優しそうな人で、安心する。