俺様VAMP!
「こっちは澤木蓮。彼も寮生だから」
…………。
「……そうですか」
思うところは、いろいろあったけど。
私は笑顔で斎さんに向かう。
…真横の男は、取り敢えず視界に入れないように。
「……じゃ、じゃあ、案内するよ」
私の荷物を持って歩き出す斎さんに、私は素直に従う。
と。
「詩乃!」
連れ立って歩き出した私たちの背後から、声が放たれた。
…今度は呼び捨て?!
そう思って、勢いよく振り返ると。
黒曜石の瞳を細めて。
「覚えておくよ。……また後でな」
男が、笑った。