俺様VAMP!

オブシディアン






ジロ、と。
でっかい眼でこっちを一瞥してから、ツイッと顎を反らせて。

腰まである長い髪を翻しながら、少女の背が遠ざかっていく。


市原…詩乃、か。


ぼーっとしてそうだったのに。
…割合、いい目をしているな。

…気がつかれたかもな。


ま、どちらでもいいが。


青い血の筋が透ける、真っ白い首の皮膚を舐めた時。


……いい匂いがした。


…血、旨そう………。


ペロリ、と。
舌と口唇に残る感触。
残滓をさらに舐めとった。

何より、あの反抗的な態度。


目に見える虚勢だったけどな。



…しばらくは。
退屈凌ぎに。



「……いい玩具になるかな」


< 17 / 93 >

この作品をシェア

pagetop